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昨日母が、久しぶりにグラタンを作った、と言った。
この暑いのに?と聞いたら、甥っ子が夏休みで給食がないから、乳製品を摂らせたかったらしい。
好き嫌いの多い彼も、ばぁばのグラタンはもりもり食べるらしい。

母のグラタン、といえば。
(この話、前にも書いたと思うので、あぁ聞いたことあるなって方もいるかもですが、また)

上京する前、家を契約するために一旦東京へ行く日。
当時付き合っていた人と出かけていて、夕方家に帰って、さぁお風呂に入って準備して夜行バスに乗ろう~と思ったら、母が台所で、グラタンを作っていた。

そもそも母がこんな早い時間に家にいること自体がめずらしく、しかもグラタン。
びっくりした。とてもうれしかった。
この日はエビとマカロニと野菜、玉ねぎとすこしの人参だったかな、の入った、いやぁ何年ぶりだろう。
白くてあつあつの愛しいグラタン。
でもわたしはそれを、半分も食べられなかった。

ほんの数時間前、遅いランチにチキンドリアを食べたことを呪いながら、早く行こうよってとっくに食べ終えた妹に急かされながら、食べたい、美味しい、苦しい、でもこれ無理に突っ込んだらバスに酔うことは見えている、あぁ、冷めていくホワイトソース。。。

もうやめとき、ってけらけら笑いながら言う母。
あのときの悲しさといったら。

子供の頃は、冷蔵庫のなか、グラタン皿に既にセットされていたそれの、ラップを剥がして、自分でパン粉をかけて、まずレンジですこし温めてトースターで焼くよう言われていた。
妹とふたりで食べるのに、トースターにふたつは入らなくてひとつずつ焼いて、熱々のを網の手前に置いた平たい皿に滑らせて。
作って置いてくれていたごはんを食べる、だけど、グラタンにおいては、寂しい感じもしなかったな。

母のグラタンは、全然特別でもなんでもない、普通のグラタン。
チキンの時とエビの時があった。
本当に普通。
でも、なんだろう。
あのマカロニの柔らかさとか玉ねぎの厚みとか、やっぱりあぁあれが食べたい。

母のグラタンを見たのは、その夜が最後。
今度帰省する時にはグラタン、作ってもらおう。今度はちゃんとお腹空かして。
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Furuyama saki
神奈川県在住
1993年3月生まれ
高校を中退後、2010年よりアクセサリーの製作活動を開始。
個展、通販、雑貨店での販売と同時に、フィルム写真やZINEも製作発表。
2015年、結婚を機に、暮らしに調和する布小物「mel」を開始。
現在は不定期オープン、スロー活動中です。

29歳年上夫とふたり暮らし。
リネンと、おやつとコーヒー、洗濯を愛しています。
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