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mel

雪解けの日に
晴れて、ちょっとずつ白がなくなっていく、しかしまだまだ寒い日。

今日読んだある小説があまりに良かった、のだけど、とても、よかった、というのも難しい、なんというか表しようのない感情。

ひとつ思ったことは、そこに確かにある、存在しているものというのは圧倒的で、美しい、ということで、
わたしは多くの時間を部屋でひとり過ごしていて、曜日の感覚や、ハレといわれるもののそれが希薄だと思うのだけれど、
窓の外から聞こえてくる家族連れの笑い声にあぁ日曜だなと思ったり、朝のごみ収集車の音だったり、放課後の運動部だと思われる学生の集団、鳥の声や、熱く入れたコーヒーが冷めていくこと、そのカップの淵にすこし茶色く染みがついてしまうこと、風に揺れる幟、桜だと知って見つめる遠くのあの枯れ木、いつも通りの時間にしっかり鳴る防災無線。

そういう、意識しなくとも見え、聞こえ、確実にあること。
なんでもない風に存在するひとつひとつに、ふつうの生活の営みのなかに、きれいなもの、失くしたくないことがあるのかもなぁって。

久しぶりにゆっくり読書をした午後。
気分転換にもなったのか、いつと変わらぬ夕飯が、いつもより美味しく感じた。
そこにあるものを、いい、と思えるそれを大事に。

やろうと思えばやることはいっぱいある、を諦めて穏やかにいられたのは、雪のおかげかな。
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