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mel

二十年前の午後のこと
運動場のベンチの側の、カラフルなタイヤが半分埋まって並んだあれで、わたしはあまり遊んだ記憶がないのだけど、

たぶん一年生か二年生のころの妹が、跳んだ拍子に顔面から落下して、おでこに大きな傷を作り、運動場じゅうに響き渡る声でわんわん泣いたことがあった。

お昼休みの、同級生たちとドッジボールかけいどろか缶蹴りか(缶蹴りって今の子どももするのかしら。なつかしい響き、)していたところに、妹の友人たちがわたしにかけよってきた、あの感じ。広すぎる田舎の運動場の端と端。バックネットの前から、はるかむこうの妹。

それはくっきりと思い出せる光景で、でもその後どうなったのかはちっとも覚えていなくて。

おおよそ二十年。
あれも、これも、なつかしいことたちはいつも昨日のことのようにくっきりと、夢の中のようにぼんやりと。
時々思い出しては笑い話。
妹は、未だにあのカラフルなタイヤを跳べないらしい。

今朝はひさしぶりに、長い夢を見て目が覚めた。
ニューヨークにいる夢。
ぼんやり、くっきり。
でもたぶんこっちは、来週には忘れてしまうのだろうなぁ。
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